今や昔、トルコ風呂

1958年に今のソープランドの原型である「トルコ風呂」が誕生。同年の施行の売春防止法により赤線が全国的に廃業され、その代わりになるものが必要とされたからだ。だが、当初のトルコ風呂には本番行為はなかった。「オスぺ」と呼ばれる手コキサービスだけだった。それも当局の目を気にして表向きはないことになっていたという。

それから、次第にトルコ風呂は過激なサービスが行われていくことになる。

だがトルコ国民にとって、元の意味でのトルコ風呂(ハマム)は、トルコの伝統的なごく一般的な公衆浴場である。
蒸気が立ち込める巨大な蒸し風呂の中で、男性の垢すり師に垢すりと簡単なマッサージをしてもらう場所。
しかし神秘的でセクシャルな「ハーレム」に対する幻想と混同され、西欧社会にある種の誤解をもたらすこととなった。
その幻想と誤解が入り混じった「トルコ風呂」観が日本にも紹介され、
男性に対して女性の垢すり師がつきサービスをするという日本的「トルコ風呂」が展開されるようになる。

もちろん福原ソープランドも昔は福原トルコだったワケである。

1984年、「トルコ風呂」の名称とその実態ににショックを受けた、東京大学に留学していた元トルコ人青年が「国にとって不名誉な名称を改めて欲しい」と、参議院議員会館会議室で議員に訴え、それが各方面に論議を巻き起こすことになる。
それを東京のトルコ風呂団体業界団体が新名称を公募。同年末に「ソープランド」と名称が変わり、その名が次第に定着していくことになった。

そしておもしろいのが、現在「トルコ風呂」と「トルコ嬢」のセリフは、放送上不適切な言葉になっているということ。
古い映像作品の再放送では音声を消される場合が多いらしい。

かつて松田優作主演のTVドラマ「探偵物語」の再放送で、トルコ風呂の看板までモザイクが掛かっていたり、「ザ・ハングマン」のサブタイトルそのものが「トルコ密室殺人」というエピソードは、丸ごと放送されなかったこともあるという。

大原麗子主演の「㊙トルコ風呂」、「怪猫トルコ風呂」など昔は「トルコ●●」や「●●トルコ」などというタイトルのB級エロ映画が多数あったらしいが、ソフト化もされていない。

B級映画ファンならずとも、昔の「トルコ風呂」がどんな雰囲気だったか、ソープランドファンも気になるところではないだろうか。